建築現場監督のススメ

ゼネコン建築現場監督が日々の思うところを書き連ねていきます。

KYB免震ダンパーのデータ偽装に関して 〜なぜ見抜けない?責任はゼネコンにも?〜

こんにちは、misaki-archです。

一級建築士を受験された方、おつかれさまでした。

 

今日は世間を賑わせているカヤバグループに関してです。

response.jp

 

 

免震ダンパーのデータ偽装ですが、、、

建設業界では度々データの偽装問題が出ますね。

 

杭が支持層に達していなかった件や

同じ免震関連でいうよ東洋ゴムの問題もまだ記憶に新しいですよね。

 

そういえば私 

免震部建築施工管理技術者

というもの持ってました。忘れてました。

 

 

<

↑こういうので勉強します。

 

■そもそも免震・制振の建物とは

免震・制振の建物をたくさん施工した経験があるわけではないので、

正確なことは言えないのですが、

それぞれ建物では固有の構造計算が必要であり、

法律を満たすため様々に規制が出てきます。

 

こと免震に関していうなら、ダンパーの性能なんてのは

その製品そのものでしか出ないのです。

 

建物本体の鉄骨やら免震装置やら、正確にモノが工場にて作られ、

現場でしっかりと図面通り施工されて初めて、

建物として「正しい」免震・制振性能が発揮されます。

 

その中の一つの部材(今回でいえばダンパー)が不正に作られていれば、

建物自体が本来発揮するはずの性能を満たせないことになります。

つまり一つの部材がNGがでるだけで、

建物としての地震からの力を逃がす性能がなくなっていると考えられてしまうのです。

 

全くおそろしい、、、

 

実際にはいますぐすべてを取り替えないと、建物が壊れる!

というわけではまずありません。

免震装置の一部に問題があったということであって、

建物が弱いか、というとそうではありません。

それとこれとは別の問題であると考える必要があります。

 

 

■なぜ見破れないのか

施工者(ゼネコン)はこういったデータの改ざんは見破れません。

まず無理です。

 

ある値を設定して、それを満たしているかどうかを判断することは

ゼネコンの設計者はできますが、

そもそものデータの数値をいじられると判断しようがありません。

 

こればかりはメーカーを信じるしかないのです。。。

 

ダンパーに関してよく「製品」の確認としてやることは

代表的な一つを取り出して、

実際に力をかけて性能試験をするということはあるようです。

 

しかしすべての製品を調査するわけではありません。

あくまで抜き取り試験のようなものだと考えてもらえばいいかと思います。

これは鉄骨の製品検査などでも同様です。

ある一つを選んで、「あーしっかりできてますね」というのが確認できれば、

他も同様に管理して作ってくださいね、という形になるからです。

 

検査自体はメーカーに任せることになります。

鉄骨は第三者機関などに頼むのが通例ですが、

ダンパーのような製品だと第三者というのは難しいですよね、、、

あくまでその会社の製品ですから。

 

自分たちの身の回りのもので考えてください。

パソコンやテレビ、第三者検査なんてないですよね?

現場に搬入する「製品」も一緒です。

 

コンクリートや鉄骨に関してはあるんですが、

エアコンだったり電気なんてのは普通の家庭用と一緒の扱いだと思ってください。

悪ければ取り変えられるものといえば言い方が悪いですが、

そういう製品はメーカーを信じるしかないため、

施工者は気づくことができないのです。。。

 

ダブルチェック、トリプルチェックなど現場では常々言われますが、

そもそもの製品をいじられると、如何ともし難いというのが現場の声かと思います。

 

 

■そうはいっても責任はゼネコンへ

いろいろ書きましたが、メーカーが悪いのはあたりまえですが、

施主から言わせれば、不動産会社やゼネコンが悪いと考えると思います。

そしてゼネコンとしてもある程度責任はかぶらねばならないと私個人は思います。

 

だってメーカーがうんぬんとか関係ないですから、施主は。

 

あくまで〇〇不動産が管理しているから、

ゼネコンが〇〇建設だから、

 

といったことをお客様は信頼して建物を作って購入してくださっているわけで、

その内部の一つが悪い!問題がある!となれば、

ゼネコンが悪いというのはあたりまえの話だと思います。

 

900件以上もの物件、どうやって対応していくのか、

これから施工に携わった会社は忙しくなるでしょうね。

 

特にマンションは公表されたくないでしょうね。

価値が暴落しますから。

こっそり交換して事なきを得たいのがマンションの住人たちでしょう。

まず公表はありえないでしょうね。

www.asahi.com

 

■カヤバグループに関して

今回の不正を行ったのはカヤバの本体ではなく、子会社なんですよね。

ここが東洋ゴムとかとは違いますね。

グループ内に占める売上って、2%くらいみたいですよ。

 

、、、、

 

会社を潰して逃げちゃうんじゃないですかね?

 

2パーですよ。

建設業界ではダンパーといえばカヤバっていう感じですが、

それでもグループ全体では売上の2%くらいです。

世間的にかなり大事になってしまってますが、

本来は車産業などがメインの会社です。

 

切り離して逃げちゃうんじゃ、、、、

 

なんて思っちゃいます。

 

 

これから対応、どうなっていくか、見ものです。

東日本大震災には耐えてるわけですから、

いきなり壊れるとかはないでしょう。。。

 

misaki-archでした。

 

免震に関して勉強したい方は下記の本がおすすめです。

 

↑こっちのほうが簡単かな。