建築現場監督のススメ

ゼネコン建築現場監督が日々の思うところを書き連ねていきます。

コンクリートのひび割れ 〜乾燥収縮を止めろ!〜

こんばんは。misaki-archです。

GW明けの仕事は気分がのらず大変でした。

 

■床コンクリートのひび割れ

下記記事を見て少し考えていました。

tech.nikkeibp.co.jp

 

有料記事なので読めない方も多いと思いますが。

床のクラック、土間コンクリートのひび割れは

現場の施工管理者にとっては永遠の課題です。

 

最近の現場でも小さなひび割れを見つけた施主が

「欠陥品だ!」などと大騒ぎしていました。

コンクリートが割れるのは仕方のないことだ、ということが建設業界の常識ですが、

一般的な人にとってはそうではないというのが実情。

こういうところはしっかりと施主へ説明していかないとあとあとトラブルの原因になります。 

ですが、記事によるとここ最近、そのひび割れが許されないような状況になってきているというのです。

 

どうやって防いだらいいのでしょうか、、、

 

■ひび割れの種類

一つ断っておくと、コンクリートは必ずひび割れを起こします

しかし、要因はいくつかあって、それぞれ別の原因によって引き起こされます。

 

1,材料要因

単位水量や骨材の影響が大きいですかね。

初期の乾燥収縮などの要因にもなります。

どんな状況でもひび割れが発生するのがこれですね。

 

2,施工的要因

コンクリート打設時に打ち重ね時間があきすぎたとか、

仕上げのタイミング、ダンピング不足など沈降クラック、

支保工の解体タイミングのミスによりたわみ発生によるクラック、

養生不足によるひび割れなど、、、

この施工的な要因は防がねばなりません。

 

3,構造的要因

応力の集中することによる、ひび割れですね。

これは設計段階でクリアしておかないと

建物に対して大きな影響が与えられると考えられます。

 

以上のようにひび割れと一言でいっても

多くの種類があるということを理解しておかねばなりません。

 

見た目でどれが原因で発生しているかの検討が

ある程度の現場を重ねるとつけられるようになります。

 

 

■どうやってひび割れを防ぐか

上であげた3、の構造的なところは当たり前に防がなければなりません。

しかしこれは現場レベルではなかなか難しく、

構造設計者に任すほかありません。

配筋量が少なさそうだというようなところは指示を仰げるかもしれませんが、

その他の部分に関しては現場サイドからのひび割れ防止案というのは難しいですね。

構造設計者といろいろと打ち合わせが必要かもしれませんね。

特に土間スラブなんてのはよくひび割れで話題にでます。

スリップバー、鉄筋量、カッター目地など色々対策はとれますが、

どれも完璧ではありませんしね、、、、。

 

 

 

現場レベルで防げるのは、1と2です。

 

まずは1の材料要因を考えるため、現場でコンクリート配合計画書を見てみましょう。

自分の現場でどんなコンクリートが使われているかをしっかりチェックしてみるとよいでしょうね。

 

当たり前ですが、プラントごとに使っている材料が違います。

大きな現場では複数プラントを用いることが当たり前になっていますので、

気をつけないと打設工区ごとにプラントを変えていたりすると大変なことになります。

 

そして気をつけたいのは骨材です。

一昔前は水セメント比とか単位水量とかが大きな原因だと言われていましたが、

最近の研究で骨材が実は大きな影響を与えているということがわかってきています。

 

その中で石灰石のものを使用しているかどうかチェックしてください。

これが一番大事です。

石灰石系の骨材を使っているとひび割れを比較的おこしにくいです。

 

ぐぐってみると詳しくはこのあたりを読むとわかりやすいです。

http://www.taiheiyo-cement.co.jp/rd/tbc/download/images/CEMS-QA_31.pdf

 

現在では多くのプラントで30-18-20N(だったかな?)の

乾燥収縮に関するマスターデータを持っています。

それをみればひび割れを起こしやすいコンクリートなのかどうかがわかります。

乾燥収縮率が8✕10-4乗 以下だとひび割れに対して良いコンクリートだといえます。

私の経験上だと6✕10-4 ~11✕10-4くらい、それぞれのプラントでばらつきがありました。

 

骨材、とにかく大事です。

床のひび割れに対して膨張コンクリートなどもつかったことはありますが、

私はイマイチ効果がわかりませんでした、、、。

 

 

2に関してはとにかく施工の計画につきると思います。

コンクリートの打設計画をもう一度見直してほしいところです。

型枠の脱型時期、スラブの散水養生計画などは

工期がなくてもやる価値は大いにあります。

 

支保工なんてのは養生期間をしっかり取らないと大変なことになります。

スラブに対しては養生マットに毎日散水した覚えがあります。

ポリフィルムを敷いてそこに水をひたひたにした現場もあります。

 

2に関してはとにかく工夫と計画で乗り切れることも多いかもしれません。

 

 

■とはいっても完璧には防げない

色々書いてみましたが、最大限の努力はするものの、

やっぱり割れちゃうものです。

上にくる仕上げ材を考えた上で、

それが許容できるひび割れなのか、そうでないのか、

状況は変わってくるかと思います。

 

力の入れどころ、間違えずに努力していきたいものです。

 

 

週明けは基礎コンクリート打設!

気合いれて300m3打ってきます。

 

misaki-archでした。

 

この本が一番ためになります!