建築現場監督のススメ

ゼネコン建築現場監督が日々の思うところを書き連ねていきます。

完全受注生産・一品生産の難しさ、そして施主の理解の無さ

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misaki-archです。

 

もう2月になってしまいました、、、

今日は最近現場で思ったことをつらつらと書いてみます。

 

■建設業は完全受注生産かつ一品生産である

みなさんが家を建てようとした時、

どんなハウスメーカーに頼んでも、

建築家に頼んでも、

必ず、あなたの家は、

 

世界中どこを探しても同じものが無い、完璧な一品生産品が出来上がります。

 

これってなかなかすごいことだと思いませんか?

 

今私達の身の回りにあるあらゆる製品は機械化されて工場で作られています。

服、車やパソコンなど工場ですべて組み上がり、全く同じものが出来上がります。

もちろん多少の部品の誤差程度はあるでしょうが、

ほぼほぼ、同じものが出来上がります。

それくらい工場で作られた製品というのは優秀であり、

機械化された部分が多いものほど、精度は上がっていきます。

 

周りにあるもので同一に見えないものって、、、

アート作品や手で作られたお皿くらいじゃないですか?

 

それくらい、同じ精度で「製品」というものができています。

 

 

■じゃあ建設業はどうなの?

はっきり言いますと、全く同じ物を作ろうとしても、

作れないんですよ。

 

 

様々な要因がありますが、

まず土地が違います。

地盤が違えば基礎の形状も変わりますし、

建物を使用している間の変化も変わってきます。

 

次に大きなところとして施工時の天気です。

 

コンクリートの打設時の天候や気温、湿度なんて

毎回変わるわけですよ。

突然雨が降ってくることもあれば、

夏場なんて気温が高すぎてすぐ固まってしまうなんてことも、、、

 

そんな状況の中、毎日作業しているため

ひとつとして同じものを作ることなんてのはできません

 

プラントで練ってくるコンクリートだって、

ばらついた範囲(合格圏内ですが)でミキサー車で運ばれてきますし、

それを型枠に流し込む作業員さんの技量ももちろん違いがあります。

その日の体調や人数配置によっても仕上がりは変わるでしょう。

 

とにかく、◯◯日と同じ状況!というのが不可能なのが建設業です。

 

■今日はなにが言いたいかというと

お客様は建物に対して過剰な要求をしないでいただきたいんです、、、

 

そして建設されたものは身の回りの「製品」ではないと理解していただきたい

 

施主の意向に寄り添って出来る限りのことはしますし、

よりよい製品(建物)を作るために日々努力はしているのですが、

建物を車やパソコンのように例えられてしまうと、

こちらとしてはかなりキツイです。

 

「新築なんだから傷ひとつないのが当たり前だ」

 

とおっしゃる方がほんと、非常に多い。

 

マンション、一軒家ならまだわかります。

一生に一度の買い物ですから。

 

ただ、工場や病院など会社の建物は少し違った見方をしてもいいのではないかと。

ある「製品」を作るための「建物」なので、

製品とは違った見方をしてみてはどうかな、と思います。

 

建物を作っている時、

人が歩けば傷がつきますし、いくら新品を渡そうとしても

その新品を作るために傷がつきます。

 

最近は特にごねたもん勝ちみたいな状況が多いため、

「客が言ったからだめ!」といったように

施工サイドとしてもすぐ引いてしまうことも多いように感じます。

もっとお互いに理解をしていかなければならないのではないでしょうか。

 

 

 

 

一応言っておくとお金と時間をかければできるんですよ!ほんとに!

ただそれが無い中で、最大限の努力をして作っている「建物」に対して、

もっと理解をしていただければ、、、

 

と建設業で働く端くれは感じております。

 

 

 

 

傷ひとつで受け取らないだ、なんだと騒ぐ現場にしばらく居たもので

まぁ、そんな愚痴でした。