建築現場監督のススメ

ゼネコン建築現場監督が日々の思うところを書き連ねていきます。

一級建築士に合格するために(製図編)〜一般解を求めよう〜

こんにちは、misaki-archです。

一級建築士の学科が終わり、今製図の勉強をしている方が多いかと思います。

そこでちょっと思ったことを書いておきます。

 

それは施設見学についてです。

 

■施設見学とは

 

一級建築士の課題が発表された後、

その課題に似たような、該当しそうな実際の建物を見学することです。

 

自分で調べて行ったり、建築士会などが開催することもあるようです。

 

 

 

それって意味あります?

 

 

 

全くイメージの出来ない建物ならまだしも、

忙しい時間を削ってまで、実際の建物を見に行く必要性は私は無いと思います。

 

もちろん気晴らしだったり、ほんの少しのリアリティを掴むためには必要なのかもしれません。

1,2回近場の建物を見るくらいはいいでしょう。

 

しかし、あくまで試験です。

私は実際に行く必要は、全くないと思います。

せいぜい設計図面集とかを見るくらいでいいんじゃないでしょうか。

それ自体もチラ見でいいですけど。

 

 

■実際の施設見学をする弊害

一番怖いのは、実際に見に行った施設の印象に

自分の思考が引っ張られることです

 

「実際の○○○美術館はこうだった」とか

「リアルの建物がこうなっているんだから、間違いない」といった

思い込みが発生する可能性です。

 

現実にある建築物はいろんな要素が絡み合って現在の形になっているはずです。

アクセスの仕方から、建物の運用に至るまで、

試験なんかでは言い尽くされないほどの議論をした上で

作り上げられたものがリアルの建物なはずです。

 

それが良いとか悪いとかいう話ではありません。

ただ、すべての建物に言えますが、それが「特殊解」である可能性が高いということです。

 

試験で求められているのは「一般解」です。

 

■一般解って?

多くの人が、試験の文章を一度読んだときに、

「これは使いやすいだろうねー」とか、

「あ、ここから入って、こっちに進むんだねー」

「こうなるのは当たり前だよね」

 

となるようなわかりやすいもの、

敷地や条件から与えられる要求を整理した結果、

生まれる一般的な解答です。

それを求められているのが一級建築士の試験です。

 

本文中になければ、わざわざキャンチレバーで床をハネ出す必要もないし、

地下を掘る必要もない、要求のない勾配屋根もいらないわけです。

 

言っときますけど、意匠上工夫した点を書け、なんて出たことありませんから。

かっこいいから、なんて書けないわけですよ。

理由になってないから。

 

素直に、条件を整理するだけです。

法律上必要だとか、運営上必須だとか、課題文を整理するだけです。

 

現実にある建物を想像しすぎたり、

それに当てはめるということだけは、

しないほうがいいかなーと感じます。

 

 

■いちばん大事なのは図面で、どんな建物を設計したかを伝える技術

 

6時間程度ある試験で、

図面だけで設計意図を伝えなきゃならないんです。

それを図面プラスアルファ、文章で伝えなくてはなりません。

 

最終成果物は何なのか、常に意識する必要があると思います。

 

なぜ、この設計となったのか、

当たり前のことを当たり前に書くだけです。

 

ただし、製図を進めて行くと強引に収めたとこなどが1つ2つでることがあります。

そこは自分に都合の良いように解釈をしてコメントを残します。

 

日当たりの悪い北側に居室を設けなきゃいけないときは、

静かで落ち着いた環境となる北側へ部屋を配置した」とか書くわけですよ。

 

あまりにも廊下の幅が広いときは

バリアフリー対応かつ見通しのよい廊下とし、運営管理をしやすくした

とか自分に都合の良いように文章を書くんですよ。

 

これを書くことによって得点に増減があるかはわかりませんが、

設計が破綻しているということだけは防げると思います

 

理由が付けれるということは自分なりの必然性がそこにあるということですから、

根本的な設計ミス、といったことにはなりにくいと思います。

 

すべての設計に理由をつける。

そういう訓練の方が大事かなーーー。

 

そうすると勝手に図面てまとまってくると思います。

ゾーニングだって一緒です。

管理部門が一つだけ変なエリアに行くことがないでしょう。

設備関係だって、固まっておいたほうがメンテしやすいし、騒音も一箇所に集中しやすいから対処しやすい。

アクセスも決まってくるでしょう。

ほら、エスキスがまとまりましたね?笑

 

 

偉そうなことを書いてますが、

こんなのもありかなーと思って書いてみました。

 

私は意匠屋ではありませんし、すべてが正しいとは思ってません。

こと、この製図試験に関して苦労したのは設備計画くらいなので

ちょっと思考を整理して書いてみました。

 

何年もハマっている人へ、

これから受験される方へ、

もっとシンプルに考えてみては?というささやかなアドバイスでした。

 

Misakiでした。