建築現場監督のススメ

ゼネコン建築現場監督が日々の思うところを書き連ねていきます。

令和2年一級建築士学科試験

 急にアクセス数が伸びてると思ったら、

一級建築士の試験が週末にあったようですね。

皆様、一級建築士の学科試験、お疲れさまでした。

こんばんは、Misakiです。

 

試験の季節になると、辛かった思い出が蘇りますが、

ほんと早くにとってよかったなと思います。

同期たちは半数程度でしょうか、既に1級建築士です。

年々頭の回転も悪くなるし、勉強するなら若いうちに越したことはありません。

 

ただ、実際に試験に合格してみるとその恩恵を受けることはほとんどなく、

社内では「当たり前」、施主や体外的にも「まぁ当然」、

社外の何も関係ない友人くらいに「へぇーすごいね!」と褒められるくらいの資格です。笑

 

同じ大学の学科を卒業して、建築を続けている人であれば、

基本的に皆持っている資格ですし、大して自慢にもなりません。

苦労して取ったわりには、?という感じです。

 

ただし、これは資格を持っているから言えること。

持っていなければ、その最低限にも立てないわけです。

 

どの職業でも同じだと思いますが、

資格を取得してから何をするか、というのが本当に大事なことだと思います。

 

資格を取得して、ようやくスタートラインです。

やっとゼロ地点です。

そこから、何をするか、考えていきたいものです。

 

これから製図を始める人、

試験制度も変わりましたし、チャンスも多くなったと推測されます。

ぜひ早期取得して、この不毛な資格試験から脱出しましょう!笑

同期たちのそれぞれ

今の会社に新卒で入社して、早9年あまりが経過した。

なんとか毎日を乗り切って、日々現場で奮闘しております、Misakiです。

 

入社時同じ現場監督を志して入社した50人程度だった同期たちは、

1年目で数名辞め、5年後には1割、現在は2割となり、

合計40名弱が会社に残っている。

ちょうど役職がついたりする狭間の年齢だったりするのがいまだ。

 

入社当初から会社や仕事が合わなくて1年以内にやめていった同期たちは

公務員になったり、完全な他業種に行ったりと、

それぞれの場所で活躍していると聞いている。

逆に5年過ぎで辞めた彼らは、親の職業を継いだりしているようだ。

 

その中で精神が病んでしま(ったと想像している)い辞めて行った彼らは

今どうしているだろうか。

うまく違うところで穏やかに過ごしてくれていればと勝手に思っている。

 

また、精神が(多少)病みながらも継続して働いている同期も多い。

多かれ少なから、心も体も壊す人が多いのが現場監督だと思う。

1、2年で建物は建設できてしまうことが多く、

その都度部署や現場の異動があるため、良い環境で働きつづけるというのがかなり難しい。

逆を言えば悪い環境に居続ける可能性も低いと言えるわけで、

心が病むくらいなら異動願いを出せと常々同期と話していたりする。

 

一般に大手ゼネコンは離職率が低い。

他業種に比べても3年離職率などはわるくない。

どんなに忙しくても、いくら休みがなくても、

人ひとりが生活するには十分な給料がもらえることが大きいと個人的には思っている。

 

私個人としてやりがいだけで仕事をこなすことは難しいと思っている。

それに見合った対価も欲しいと思うのが人の常ではないだろうか。

 

金は十分にもらえる、でも心や体を壊してはどうしようもない。

私が会社を去る日は近くはないけど、遠くはないだろうなと想像していたりする。

ゼネコン給与ランキング2020

diamond.jp

 

みんな大好き年収ランキング。

ざっと見てみましょう。

 

34位 鹿島 1,106万円

45位 大林組 1,033万円

46位 大成建設 1,027万円

 

1000万円の壁

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56位 清水建設 986万円

67位 奥村組 961万円

(83位 日揮

87位 長谷工コーポレーション 924万円

90位 大和ハウス工業 917万円

 

朝日工業社大気社などサブコンもこの界隈)

 

900万円の壁

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104位 東急建設  892万円

115位 戸田建設  881万円

121位 前田建設工業 879万円

(鉄建、淺沼組、西松建設など、、、、)

 

800万円の壁

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東亜建設、三井住友建設

 

 

500位近辺の飛鳥建設で729万円でした。

 

 

このランキングにでてくるような企業はある程度給与が保証されており、

安心して働けるといった感じでしょうか。

内情はわかりませんし、

実際どの程度の層がこの給与をもらえているのか。。。

 

 

 

このような形でした。

建設業界自体が今はかなり好景気ですので、

このような高い給与となっていると想定されます。

コロナの影響を受けて、設備投資などに企業が力を入れられなくなると

途端に不景気になります。

2,3年後はどうなっているやら、、、心配ですね。

 

 

苦悩する日々

 

こんにちは、Misakiです。

2月から新しいプロジェクトがはじまり、日々忙しくしています。

しかしストレスが溜まるばかりでどーしてこんな状態なのか、吐き出してみる。

 

■コロナの影響

やはりコロナの影響は大きいかなー。

多少のストレスがあったとしても、飲みに行ったり、発散する場があると

違うかなーという気がしている。

一旦落ち着いて来ているので、3月4月ほどのイライラはない。

 

■なれない仕事とメンバー

新しい現場に入って、ようやく部下たちになれてきたものの、

やはりまだ完全掌握というわけには至っていない。

国も分化も違う人と仕事をしているわけだから、

ミスコミュニケーションも多いし、スムーズに仕事もいかないこともある。

こればかりは海外にいる限り、仕方のないことだろう。

幸い悪くないメンバーが揃っており、自分のことを尊重してくれているので助かる。

 

■上司との関係

私の上に上司がいるわけですが、はっきりいって仕事っぷりが好きじゃない。

自分の良いようにだけ振る舞っている気がする。

今回はお金が厳しい現場で、余裕がないせいも多分にあると推測されるものの、

振る舞いが気に食わない。

 

人間的に合わないのだろうか。

嫌い、という感じはしないのだけど、仕事の進め方に納得がいかない。

やはり人間納得していないまま仕事をするとストレスがたまるらしい。

自己肯定感は大切だと身にしみる。

 

自分にとって信じるものや思想が上司と違うとき、

折り合いをつけながら仕事をするのがサラリーマンであると常々思って働いているが、

いい加減辛くなってきたのは気の所為ではないっだろう。

 

■誰かの間に立っての仕事

上と共通するが、上司の意見をもとに設計者と話して来いというのがたびたびある。

これがしんどい。

自分の思想とは違うことをしゃべるのだから、

つまり、自分が間違っていると思っていることをしゃべるのだから、これはつらい。

そして設計者とは必ずぶつかるのである。

 

まぁしんどい。

誰かと誰かの板挟みになるのは本当にめんどくさい。

それなら直接二人でやってくれと言いたいところなのだが、

それでは自分の仕事とは何なのかと思ったときに、

意外とそれが主たる仕事になっていたりするのでガツンと言えないのである。

中間管理職ってのはこんなもんなのかもしれない。

 

しかし部下であるローカルスタッフからそんなに文句が出ていないので、

まだ助かっているが、

これで下からも挟まれたら私は倒れてしまうかもしれないな。

 

■っていうか俺いらなくない?

そう、実際はそういうことなのだ。

不要なのだ、自分という存在が。

 

手を動かす、資料を作る作業人工としては必要なのだが、

実際にいなくなって現場が止まるかと言うと、止まらない。

会社だから。

 

よく、自分が全部決めるつもりでやってみろ!とか言われるわけですが、

全部決めさせてくれないじゃないか。

何をしたって文句が入るのだからはじめからやりたくなくなる。

 

こっちが図面をチェックしたって、上司に大きく変更されるのなら

はじめから最低限のことしかしなくなる。

 

そう、結局はそこなのかもしれない。

主体的に物事をすすめるということができていないのだ。

自分が主役となって活躍できていない、それが一番ストレスになっている。

 

失敗するのがこわい、そう、それもある。

怒られるのが嫌、それもある。

間違いを犯すのをおそれている、そればかりなのかもしれない。

 

いつだってやる気がなくなるのは、そういうときなのかもしれない。

自分の思い描くもの、考えたもの、チェックしたものに大きな修正が入ったりするのが

私はとにかく嫌なのだろう。

 

はやくそういった立場にたって、自分が決定権をもってやれるときになって初めて、

仕事が本当に楽しいと思えるのかもしれないなぁ。

建築士は男がなってはいけない。んだって??

話題になっていた、この記事について。

anond.hatelabo.jp

 

ここでいう建築士とは

いわゆるアトリエ系設計者、そして住宅設計者を指すのでしょう。

 

そしてここでの建築士=建築家ですね。

私は建築士であっても建築家ではないですし、

設計業務はしませんしね。笑

 

さて、この記事ですが、

普段家事をしない男がデザインした家が住みやすくなるわけないだろう」。

 

とばさっと書いてくださっているのですが、

まぁ半分はあたっているかなぁーというのが率直な感想です。

 

過去の住宅作家のデザイン集などを見ても、

本当に住みやすいの?と聞かれると

甚だ理解に苦しむものも多いです。

名作住宅をみてもそうです、かっこいいけど、、、と一般の人が多く言うのもうなずけます。

 

ただし過去の建築家であっても、みんなが当てはまるわけでなく

宮脇檀先生なんてのは、ご自身の経験上より住みやすい家を追求し、

エッセイなんかも多数出されています。

この方の家なんてのは、きっと住みやすいのだろうなぁーと想像に優しいです。

 (学生自体、ほんとうによく本を読みました。)

 

確かご本人は離婚されて、家事をしながら娘さんを育てたんじゃなかったかな?

その分、家事に対しては深い思いが合ったのかもしれません。

 

 

■住みやすさって何でしょう

 

何をもってして住みやすいとするかは人それぞれですが、

あくまで一般的にその家で行われる 家事に重きを置くのであれば、

家事のしやすさ=住みやすさ、ですかね。

家の使い勝手、と言ったほうがいいかもしれません。

 

デザイナーズマンションなどはきっと住みにくいものが多いでしょう。

ある特定の思想を持って作っているものの、

それに合わない住み手も多くいるでしょう。

 

ただし建築、特に住宅というのは基本的に特殊解の集まったものです。

家族構成、生活スタイル、立地、その他もろもろ、

どれ一つとして同じものがありません。

そのため、

 

家事がしやすい住宅!がもっとも良いのか、

大好きな映画やテレビを最も見やすい住宅が良いのか、

富士山の見える窓や庭を持ったリビングあるのが良いのか、

自動車や自転車を整備する趣味部屋があるのが良いのか、

お菓子作りをするためのキッチンが大きいのが良いのか、

 

どれだって唯一解だと思うのです。

いろんなかたちの住宅があります。

何もないがらんどうが、私は好きだったりしますし。笑

 

そのため家を建てる建築家と話しあって、

それらを吸い上げてもらって出来上がった家というのは本当に素晴らしいです。

他人には住みにくくても、その家族にとってはこれしか無い!という場合も多々あります。

 

そこらへんが設計者の一番のやりがいと難しさかなーと思います。

 

上記のブログで言及されているテレビ番組は見たことがありませんが、

住み手から不満がでるのは、、、やはり問題ですけどね。。。

お互い話し合って齟齬を無くした上で建物を作ることができれば一番いいのですが、

やはり難しいですよね。。。。

 

↓最近見つけたYOUTUBEのチャンネル。

ここでは日本の家も数多く紹介されていますが、

リビングに屋根が無い家というのが紹介されています。

 

これは絶対住みにくいですよ!

だって雨ふるたびに片付けるんですから、、、

ほっといたらぜんぶ濡れちゃうんですよ???

 

でもここに住みたかったんですよ、この施主の方は! 

改めて建築にはいろんな可能性があると実感します。

www.youtube.com

 

■家はつくるもの?買うもの?

さてそこで少し思うのですが、

日本では結構な人が家は買うものであると認識しているようです。

 

ハウスメーカーが台頭し、

多くの新築住宅が供給される日本では

家は 買うもの なんですって。

 

私はやはり、 つくるもの、 であってほしいです。

ハウスメーカーでもいろんなバリエーションがありますし、

多くの施工を経験しているため、圧倒的に消費者の声を聞いているため、

より一般的に日本人の住みやすい住宅が、安価で作ることが可能です。

 

ただもうちょっと、

自分の思う通りに、好き勝手な家を作ってみてもいいのになぁーと思います。

誰かに文句を言われることも本来ないですし、

自分のやりたいように、寒かろうが暑かろうが、

それを望むなら、その手助けをできる技術者となりたいところです。 

 

今日は思いついたことをつらつら書いたのみです。

 

 

家、建てたいなぁ。

働く環境ー都会と地方ー

こんにちは。

今日は働く場所について。

 

■ゼネコン社員は転勤ありき

なぜ大手ゼネコン社員の給与が高いのか。

それは転勤が強制的に行われるからです。

有無を言わさず転勤です。

 

建設業なんてのは、大抵1年程度で建物ができてしまうため、

工事が完成し、竣工次第、私達現場技術者は異動となります。

私は日本で7年働きましたが、8回引っ越しをしています。笑

 

■都会で働くこと

東京や大阪、大規模歳で働く場合はスーツ等での通勤が多いです。

作業着でうろつくのは何かとこのご時世リスクですので、

大抵現場で着替えます。

もちろん移動は電車がメインです。

ずっと東京や大阪のいる人は現場が変わっても引っ越す必要はないかもしれません。

なぜならそれだけ交通網が発達しているからです。

 

それが好きで都会にいる人もいますし、

メインの超大規模工事というのは東京でしか体験できません。

商業施設や超高層などは都会でしか味わえない、まさに街を作っているという意識でしょう。

 

現場における監督の数はもう、たくさん居すぎて。。。

派遣さん含めると200人以上の現場監督と呼ばれる人がいる場所もあるくらいです。

そのため、仕事は細分化され、自分でできる仕事の範囲というのはごくごく小さいです。

小さく深く、それが求められる場合が大規模物件だと多いですね。

 

■地方で働くこと

逆に地方はどうかというと、

車での移動がメインとなりますので、移動時も作業着です。

そして鉄道など交通網が発達していない、

田舎での工場建設などがメインとなります。

 

私は田舎出身ですし、全く苦ではないですが、

これが苦手な人もいるらしいです。

工場などは一気に工事が進みますし、

現場の監督の人数も少ないです。

一人に任される裁量も必然的に大きくなり、年齢とマッチしない大きな責任を負うこともあります。

 

逆にこれがいい場合もたくさんあって、

若い頃から任せてもらう範囲が大きいので仕事はかなり覚えます。

広く浅く、いろんな知識が必要です。

 

■大手ゼネコンといえど、現場で働き方が全く変わる!?

上述したように、自分の置かれる環境によって、

同じ会社内であっても個人の成長度合いがかなり違うことがわかったでしょうか。

私の場合、工場は得意ですが、超高層`は経験がありません。

なので都会の大現場にいっても活躍できるかはかなり不安です。

逆にずっと大現場にいる人は、地方の現場にいってもどうにもならない場合もあります。

 

どちらが良いということは一概に言えませんが、

会社の都合によって動かされる社員たちは、こうやって能力がそれぞれに特化した方へ

伸びていくのです。。。

 

 

さて、どうだったでしょうか。

ある程度の希望は聞いてくれるものの、

急な異動も多い建設現場。私は最短で4日前に異動を言われたことがあります。。。

自分が将来なりたい像を考えながら働くということを意識していないと

すぐに会社に飲み込まれてしまいます。

 

私は運良く、良い現場に恵まれてきているかと思いますが、

これからどうなっていくやら。。。

まずは海外で所長業務、がんばります!

ゼネコンと年功序列の相性の良さったら無いよね

こんばんは、Misakiです。

 

ふと思ったこと。

建築の技術者というのは、歳を重ね、

経験を重ねた人ほど豊かな知識を獲得することができます。

 

これは本当にそうです。

 

数多くの地盤を見てきた、

鉄筋の配筋検査をしてきた、

屋根の納まりを図面で書いてきた、

床の仕上げで苦労し、毎回調整してきた、

 

現場にいると様々な経験ができます。

そして必ずそれが次の現場に活きるのです。

 

必ずです。

 

同じ建物はこの世に一つも存在しない、

そんな完全一品生産の世界にもかかわらず、

必ずどこかで経験したことが活かされるのです。

 

これは本を読んだからとかで体得できるものではありません。

台風の日にびくびくしながら現場にとまったとか、

その日にどこぞの資材が飛んでいったとか、

そういう経験をすることが必要なのです。

 

本には書いてありません。

経験のみ、口頭でのみ、

そして感覚値でのみでしか判断されない部分が多分にあります

 

これだけ世の中に情報があるのにも関わらず、

現場で経験する数多くのことは、どこにも載ってないんですよ。。。

載せられないといったほうが一部正しいかもしれませんね。笑

 

そしてそうやって成長し、熟練してきた技術者たちが

しっかりと評価され、給料を貰えるってのは、

まさに年功序列があたり前でいいのかなーと思った今日このごろでした。

 

はっきりいって、5年10年現場にいる超できる人でも、

30年現場を見てきた人には、まず敵いません。

(お金儲けの仕方やプレゼン、折衝、その他の能力は別です)

現場での技術については、間違いなくかなわないのです。。。

 

インターネットや広告、そしてIT、金融の世界なんてのとは

世界の進むスピードが建築は違います。

 

意外とこのことを認識している人って少ないんじゃ、、、?

 

 

飲みニケーションだけでなく、

現場でのOJTなんかも、もっと積極的にやらないとと感じる今日このごろです。

 

働き方改革なんて、BIMなんて、そんなことよりやることあるよなー。